不織布は、その名の通り「織っていない布」のことです。通常、布は糸を織ったり編んだりすることによって1枚の生地に仕立てられますが、不織布は繊維を熱で接着する、機械的・化学的作用によって結合させたり絡み合わせたりする、などの方法によって1枚のシート状になっています。製造後に染色したり、ラミネート加工を施したりすることも可能です。
不織布の原料には、さまざまな繊維が用いられます。天然繊維であれば綿・麻・パルプなど、化学繊維であればレーヨン・ポリエステル・ポリプロピレンなどが代表的なところですが、玄武岩などの鉱物を原料としたものや、ガラス繊維を用いたものなどもあります。また、複数の原料を組み合わせて製造することもできます。
不織布のサイズは、製造工程や用途に依存します。原理的には生産設備の限界が最大サイズとなりますが、カッティングが容易なのでそこからさまざまなサイズを作り出すことが可能です。身近な製品で言うと、ティーバッグや湿布の基材、生理用品などが小さなサイズの応用例です。一方、大きなサイズの製品には、カーペットの基材や農業用の種蒔きシートなどがあります。包装資材に使われる不織布のサイズはバラエティに富んでいます。
土木・建築資材に用いられる不織布には、さらに大きなサイズの製品があります。たとえば屋根の防水工事を施す際に使われるルーフィング材や、造成工事中に法面を覆うための養生シートなどには、数メートル四方の不織布が使われています。