今や身近な生活になくてはならないものになっている不織布は、文字通り「織らない布状のもの」です。布状の物は普通、糸を織ったり編んだりして作られますが、不織布は繊維を一定方向だったりランダムに集積し、方法は様々ですが、接着樹脂を使ったり、機械や水流・熱などを使用して繊維を結合させて布地を作ります。
不織布は人類史の初期から作られてきて、動物の毛皮や樹皮などをほぐして織らずに布状にして使用してきました。近代では1920年にドイツで、毛のくずなどをフェルトの代用品として作ったのが工業生産による不織布の第一歩です。不織布には様々な材料が使用されていますが、特に生活に身近になっている材料が化学繊維です。レーヨンは衛生材やナプキンなどにも使用されていますし、防寒衣料の中に入れられているのがPETと呼ばれるポリエステル材料です。ポリプロピレンも身近な素材で、主に紙おむつのカバー材料として使われています。
さらに価格が他の材料と比較して高めなため使用する範囲は狭まりますが、布地の芯やたわしなどに使われるナイロンもあります。不織布のメリットは織らずに布地ができるため、低コストで生産できるところです。濾過性や保湿性、通気性も特色としてありますし、様々な機能を付与することができる優れた布地です。不織布のデメリットである耐久性の低さは逆に、衛生を考慮して使い捨てができる製品が重宝される現代では用途が広がりを見せています。